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地鎮祭 上棟式  建築と方角

こんにちは、技術部の赤塚です。
地鎮祭 上棟式のご紹介と、
建築と方角について、
ある先生のご指摘と
考えたことをご紹介してみたいと思います。

地鎮祭(じちんさい)とは、
読んで字のごとく、
その敷地を「鎮める」、
つまり清め、その敷地に眠る神に敬意をささげ、
工事の無事な進行と土地・建物の末永い安全を祈願する儀式です。

土地の神様にこれから工事を始め建物を建てることを承諾してもらう意味もあり、
その歴史は飛鳥時代に遡るそうです。

地鎮祭は、神社の宮司様にお願いする神式が一般的ですが、
お寺にお願いする仏式やキリスト教式などもあります。

坂元植林の家では、
住まい手の方で特にゆかりのある神社様が
いらっしゃらなければ、
地元、柴田町船岡の白鳥神社様にお願いすることが多いです。



雨が降ったり、
日差しがきつい日でも、
滞りなく執り行えるように、
テントをご用意して行います。

上棟式(じょうとうしき)とは、
住まいの建築において、
建物の骨組みが完成したことを祝う儀式です。
棟上げ(むねあげ)と呼ばれる建築作業の一区切りが無事完了したことを感謝し、
今後の工事の安全を祈願する神事として行われます。

坂元植林の家では、
上棟顔合わせ式(じょうとうかおあわせしき)と呼び、
餅撒きは行わずに、
スタッフ・大工さん・住まい手様の3者で執り行うことが多いです。

また、棟札と上棟絵馬を用意して、こちらを大工さんにお預けいただきます。
棟札とは、新築や改修の際に、
その建物の繁栄と工事の安全を祈願して棟木や梁などの小屋裏に取り付ける木札ですが、
上棟の日時、施工者・施主名(写真では消しています)を明記して、
建物の棟(むね)に近い位置にとりつけます。

上棟絵馬には、ご家族の住まいへの想いをイラストや言葉で描いていただき、
これも棟札と一緒に建物の棟(むね)に近い位置にとりつけます。

式では、
社長による祝詞奏上、四方祓い、礼拝(二礼二拍手一礼)、
そののち上棟の儀を執り行います。

上棟の儀では、
住まい手の皆様にも建築に参加していただく証として、
柱に真鍮の釘打ちを打ち込んでいただきます。

それから、
社長と棟梁から一言ご挨拶いただきまして、
その後に住まい手さまより一言いただいています。

式の後、棟梁へ棟札と絵馬、
ご祝儀を棟梁にお渡しいただいています。

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建築と方角について

※以前、松井郁夫先生のワークショップ「き」組で講義をしてくださった
岩崎俊介先生のSNS投稿を拝見して、建築と方角について、
地鎮祭や上棟式と関連して、改めて思い当たったことがあります。

地鎮祭でも上棟式でも、
祭壇を設けるのですが、
これは上棟式でも地鎮祭でも
南に向けて設えます。

その住まいの計画が持ち上がった時に、
設計、プランニングにあたり、
私は何度もその土地を訪れ、
日の高さ、風の流れ、周囲の植物の状況を観察します。

この時、重要なのはやはり、「方角」です。
自然に臨み、その土地にそのご家族が住まう、
住まいを考えるとき、「方角」はとても大きな意味を持ちます。

地鎮祭の時も上棟顔合わせ式の時も、
祭壇にお神酒や作物をささげ、
図面を祭壇に配したのち、
四方祓いといって、
建物の北東・南東・南西・北西
それぞれの角を祓います。

なぜ、祭壇は南向きなのか、
その由来は「天子は南面す」という中国の故事や、
正面から日の光を受けるということ、など諸説あるようです。

冬に南から降り注ぐ日の光を取り込むことによって
冬の暖房エネルギーを節約する、
そのために建物を南向きに配置する、という
パッシブデザインの文脈からも、
私たちはなるべく建物を南向きに配置したり、
窓を意識的に南に配置するように設計していますが、

住まいに係わる儀式における祭壇の向きや故事のような
建築の奥深い歴史の中で、
すでに南、方角、に重要な意味が示されていたということに
改めて、何かを気づかされた気がしました。

改めて方角の持つ意味をとらえ、

暮らしの中で自然と折り合い、豊かに生きる、
住まいづくりのお手伝いにあたっていこうと
思いました。