スタッフブログ

台風の跡 坂元の森

台風19号の被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

私たちの事務所のある柴田町は、白石川と阿武隈川の合流地点があり、
浸水被害に遭われた住まい手の方がたくさんおられます。

そのため、先週から、モデルハウスの営業やワークショップの予定を取りやめ、
被害に遭われたみなさまのお住まいの点検などを行っております。
参加のご希望をお伝えいただいた皆さまには、大変ご迷惑をおかけしました。

そんな中、10月13日に予定しておりました森林体験ツアーも中止とさせていただきました。

ですが、坂元植林の家ではイベントとして皆様をお誘いするツアー以外にも、
ご希望のお客さまのスケジュールに合わせて、個別ツアーも開催しております。

森を案内する際、森に危険はないか、どんな状態か、確かめるため、森の下見にいってきました。

9月ごろから、いろんなところで見かけるピンクの花

イヌタデといいます。
「蓼食う虫も好き好き」のタデです。
食べる蓼は、紅蓼(ベニタデ)といって、たまにスーパーでもみかけます。
お刺身についてるあのピリッと辛い赤い葉っぱが、ベニタデです。
ヤナギタデという種類のタデの若芽らしいです。
野にはいろんな葉っぱがあるのに、わざわざ辛いタデを選んで食べる虫がいるように、
人の好みもさまざまで、時には理解しがたい。
という意味のことわざですね。

イヌタデは、別名「赤飯(アカマンマ)」ともいい、
このピンクの花を集めて、ままごとで赤飯(せきはん)に見立てて遊んだので、
こんな呼び方もあるそうです。

アオキの実生(みしょう)

坂元の森のあちこちで見られます。
常緑樹なので、冬でも青々とつやつやした葉が目印です。
日陰で育つ陰樹です。
雄株と雌株があり、これからの時期、雌株には赤い実がつき、
ヒヨドリがよく食べ、ヒヨドリの糞によってあちこちで芽吹きます。

今回の台風で、コナラが倒れてしまいました。

樹木は、その高さの20倍もの距離にわたって風下の風を弱めてくれるといいます。
根が弱ったりしていると、このように倒れてしまうこともあります。
倒れてしまっても、薪として活躍してくれます。ありがたいことです。

もう花は終わってしまったようですが、秋の季語であり宮城の県花でもあります。ハギ。

これはヤマハギかと思います。
古い株からも芽をだすことから、「生え木(はえき)」といい、「ハギ」に転じたそうです。

ハギはマメ科。マメ科といえば窒素固定。
マメ科の植物は光合成によって炭水化物を合成し、共生する根粒菌はこれをエネルギー源に活動します。
根粒菌は大気中の窒素を窒素化合物に変え、マメ科の植物に与えます。
マメ科の植物はこれをタンパク質を合成します。

…と、中学の理科や高校の生物で習った話をしだすとキリがないので、
そのあたりは生ごみコンポストのワークショップなどでお話しするとして…。

坂元の森でよく見られるケヤキ

樹齢の経っているケヤキと違い、若いケヤキの樹皮はなだらかです。

ケヤキには、ツキ(ツキノキ)と呼ばれるものと2種類があり、
その樹形で見分けられると山の先生に教えていただきました。
見分け方は、坂元の森に遊びに来られた際に、聞いてみてください。
ご存知の通り、柴田町には船岡駅の他に槻木駅(ツキノキ駅)がありますが、
この「ツキ」が槻木駅の名の由来となっています。


わかりにくいですが、ケヤキは葉も、とてもきれいな形をしています。
ケヤキという名前は、「美しい」とか「際立っている」という意味の「けやけし」に由来し、
「けやけき木」の略だそうです。
樹の立ち姿が美しいだけでなく、葉の形も美しいと思います。

いつもは水の出ていない場所から、水が流れていました。

谷筋を流れる水は、道に出て、集まり、さらに流れる力を増します。


このように、重機や車が何往復もして、踏み固めた砂利道も、自然の力にはかないません。

台風の後でも、シロヨメナが咲いていました。

少し日当たりのいいところに、ヤクシソウ

水気の多いところには、ミツバがたくさん

タラノキの花の跡。枝の先に白い花がつきます。
実がなる頃、赤くなります。この写真では実も食べられた後ですね。

たくさん黒い実がなり、ヒヨドリやホオジロなどがよく食べます。

アザミの花の枯れた跡かと思いきや、オヤマボクチというアザミの仲間の花の跡です。

火打石の火花を受ける火口(ほくち)から「ボクチ」という名がつき、
葉の裏の綿毛を火口に使ったそうです。

オヤマボクチは、実はそば好きには有名な山野草で、
山ごぼうとも呼ばれ、長野や新潟の一部では、
そばのつなぎに使われ、幻のそばというのだとか。
いつか私も食べてみたいです。

槻木駅西モデルハウスの庭にも植えました。

ヤブコウジ。この時期に赤い実がなります。


この紫の花は、シソ科のナギナタコウジュ。
とてもいい香りがします。
アイヌの人々は、病魔や邪気などはナギナタコウジュの匂いを嫌うと考えていました。
そのため、ナギナタコウジュを常用して、健康を保とうとしていたそうです。
風邪をひいたらお茶にしたり、お粥に入れて香りの良い料理を楽しんだりしたんだとか。

台風の被害に遭われた皆様のお宅を回り、被害とこの先の不便、不安に心を痛めておりましたが、
こうして山を歩いてみると、普段は見かけない植物の移り変わりに気がつくことができます。

自然は淡々と、時と季節の移り変わりの波に乗り、その姿を変えていきます。

被害に遭われた方も、そうでないみなさまも、坂元の森を訪れていただければ、
少しだけ、気持ちが軽くなるかもしれません。

いつでもご案内いたしますので、お気軽にお問合せください。