スタッフブログ

正直で美しい建築

【成田プロジェクト さとのえ】を、
茨城県八郷で木の住まいの自力建築を続けていらっしゃる岩崎先生がFacebookでご紹介してくださいました。
ありがとうございます。


https://www.facebook.com/photo?fbid=4782380251882921&set=pcb.4782398261881120

こちらに、日本語部分の本文を引用させていただきます。

引用開始===========================

地球の永続性につながる「健康な美しさ」とは、何か・・・
What is the “healthy beauty” that leads to the permanence of the planet?
この世には、人が何を好むかによっていろいろな価値体系があり、
何を「美しい」と感じるかによっていろいろな「美」がある。
新鮮な美しさもあれば、朽ちゆく美しさもあり、退廃的な美もあれば健康な美もある。
したがって、いろいろな価値体系や美はそれを好む人があるがゆえに、
すべて肯定されるが、いまや地球環境を追い詰めてしまうという危険性において、
われわれは「何を美しいと感じるか」について、もう少し真剣に考えなければならないと思う。

ここに、僕の友人の山田貴宏さん設計で、
もう一人の友人Akatsuka keita さんが勤務する宮城県の建設会社(坂元植林の家)が建てた家の写真2枚を掲載するが、
僕はこの家はとても「美しい」と思う。
これは、まさに健康的な美であり、何よりも嘘をついていない。

しかし僕は、いま日本で建てられている家のほとんどは、それぞれの美があるとしても、
果たして健康的にして地球の永続性につながる美を持っているかは疑わしいと感じている。
つまり、その内容と表現にズレがあり、嘘をついているように感じるのだ。
何よりも、家は「素材に対して正直」であるかが問われており、
嘘の空間に住まうことによって人間が持つ数多い可能性を奪ってゆく危険性がある。

明治維新において、それまでの日本の伝統的な美の流れを断ち切り、
外国勢力に対抗するための富国強兵制度や中央集権制度と並行して西欧的な美学が生活の中心を占めるようになって、
日本人は何がほんとうに美しいのかを見分ける力を失ってしまった。

人は、どんな家を建てればよいのかの確信を得ることが出来ず、時の流れに沿って右往左往するのが現実である。
僕は、家を設計するにあたり、何が時代を超える真実であり、ただの効能ではなく、
その精神においてわれわれの生活を豊かにするものは何かを考えるのだが、
それは「素材に対して嘘をつかない」空間こそ未来につながると考えるようになった。

もう一枚の写真は、今わが家に建設中の息子家族の家であるが、この家がどのように建っているか、
つまりその構造を知ることができる「真壁構造」を基本に、
断熱性能を高めるために10cm厚の断熱材を入れる壁を作るべく、
すべての壁または窓は柱の間に「額縁」を作って収めるようにした。
これも、いまだ試行錯誤の段階ではあるが、人間と地球の永続性を願って、これからもさらに考えていきたい。

===========================引用終わり

岩崎先生は、私が昨年受講した松井郁夫先生のWSき組ゼミで、
「美しさとは何か」-自力建設を通じて-というテーマで講義いただきました。

WSき組という伝統工法をベースにした木の家づくりを学ぶ場であったものの、
岩崎先生の講義では、世界の抱える問題へのアプローチのひとつとしての自力建築が語られていました。

建築・木の家…という世界、業界に対して、
大学などで建築を学んだわけではなくむしろ国際問題・地域の問題・持続可能性といった視点から入ってきた私としては、
岩崎先生の講義はとても腑に落ちるものでした。

株式会社サカモト、坂元植林の家の【成田プロジェクト】という取り組みを通じ、
ビオフォルムの山田さま、風土形成事務所の廣瀬さま、地域編集室の簑田さま、さまざまな方にご協力いただいて、
夏には建築完成というところまできました。
http://sakamoto-shokurin.com/satonoe/
完成を待たずとも、工事現場のご見学は事前にご連絡いただければ対応させていただいております。

岩崎先生のおっしゃる「美」に恥じぬ、正直な建築・場としてあり続けられるよう、
気を引き締めて取り組んでいきたいと思います。

以前の「さとのえ」の記事はこちら
里山での新拠点整備 さとのえ
里山での新拠点整備 さとのえ2
里山での新拠点整備 さとのえ3
里山での新拠点整備 さとのえ4
里山での新拠点整備 さとのえ5 竹割りワークショップ