森のお仕事

森を知り尽くした木こりの話

木と、森と、会話する「森の番人」

坂元植林では、林業部門の山・森の職人さんを「森の番人」と呼んでいます。 森を守り、木を育む。それが「森の番人」のお仕事です。 木を、森を知り尽くした彼らのお仕事をご紹介します。

坂元の森の1年

木こりの一年 春

木の根の活動が活発化してきます。

・苗木を植え付ける作業に取り掛かります。
・9月のお彼岸から3月のお彼岸までに伐採した木を、山から搬出し、製材していきます。

木こりの一年 夏

降り注ぐ太陽を浴びて、木はすくすくと生長します。

・下草刈りを行い、木の生長を助けます。
・夏の間は、木は生長する時期なので、皮は柔らかく、水をたくさん吸い上げています。
・虫も活発になる時期なので、この時期の下草刈りで風通しがよく、虫の付きにくい環境を作ってあげます。

木こりの一年 秋

冬に備えて木が水を吸い上げるのを止めます。

・枝打ちを行い、林の風通しと光が入りやすい環境を作ります。枝が枯れ落ちることを未然に防ぎ、枯れた枝などから害虫が侵入し、病気になるのを防ぎ、木材になったときに節がでないようにします。
・除伐、間伐を行い、曲がった木や、生育の悪い木を除いていきます。より健康で生育の良いものを残していきます。
・山地調査を行います。地形・樹種・成長状況を確認し、伐採の計画を立て、1本1本の木の性格を調査していきます。

木こりの一年 冬

伐採、搬出のピーク。年輪の色の薄い部分は春から夏にかけて、色の濃い部分は夏から秋にかけて作られる。冬は成長が止まります。

・木の成長が止まる冬は、伐採のピーク。何度も何度も木を見上げ、木の重心を確認し、足元を見たり、木を倒す最適な方向を決定し、慎重に伐採を始めます。
・状態や使い方に合わせて、1本の木をどう玉切りするかは異なります。木の曲りや傷を避けてほしい長さに切るのが玉切りです。

植林・間伐、伐採→森のお仕事

森とは?坂元植林の森づくり
1度人間が手を入れ、植林した森は、手入れし続けなければ荒廃してしまいます。特に皆伐・全植を経た森は、間伐を前提に高密度で植林を行っているので、そのまま放置すると、痩せて細い木々が密集して乱立してしまうことになります。
すると森には太陽の日が差し込まず、薄暗く風通しの悪い森となってしまいます。下草も生えなくなり、他の生き物の営みもうまくいきません。
針葉樹を中心に植林した場合、落葉が少なく、土地も痩せていきます。そんな森では木々の根も浅いため地盤が弱く、昨今のような大雨では簡単に表土が流され、土砂災害が起きてしまいます。
また、エリアにもよりますが、皆伐によって森の生態系に悪影響を与える場合も考えられます。
そこで、私たち坂元植林では、健康な森が本来持つ機能・役割(水源涵養機能など)を可能な限り活かせるよう、皆伐を極力行わず、必要な間伐と、伐期に達した木々を必要に応じ森を壊さないよう見極めて切り出す「択伐」という伐採方法を採っています。
また、一口に山・森といっても、場所ごとに環境は違うものです。土質・日当たり・風通し・地下水の状況・傾斜など、木々の成長に関係する要素が同じ場所は2つとありません。
さらに、山や森にもともと自生している木は、針葉樹ばかりではありません。それぞれの場所に自生した広葉樹、いわゆる雑木林なども生えているのです。その場所に適した木々が、自然な形で生育していること、人手が加えられた山林も自然の摂理に従うよう、正しく手入れされた森の姿が、私たちの目指す森の姿です。

山や森の持続性を考えるとき、伐採や植林、下草刈り、つる切り、枝打ちなどたくさんの作業がありますが、その作業のほかに、森・山 全体を考える 森林計画がとても重要です。
日当たり、林道の状況、杉や桧以外の広葉樹の分布状況、さらには水はけ、樹齢の分布、新たに植林した苗木たちが何年程度でどのくらい育つか?という見通しも含め、総合的に考慮して、坂元植林では「針広混交複層林(しんこうこんこうふくそうりん)」を目指しています。

「シンコウコンコウフクソウリン」と一言でいうと何かの呪文のようですが、針葉樹(スギやヒノキなどの葉がつんつんしているもの)と広葉樹(葉が平たいサクラやケヤキ、ブナのような種類)の両方が混じりあっている森を「針広混交林(しんこうこんこうりん)」といい、世代も、若いものから樹齢を経たものまで幅広く、樹冠(木のてっぺんの部分)や樹高(木の高さ)の異なる木々からなる森を「複層林(ふくそうりん)」といいます。

この両方の特徴を持った「針広混交複層林(しんこうこんこうふくそうりん)」を目指し、坂元植林では林業に臨んでいます。

この考え方と近い概念で「適地適木」という言葉をしばしば坂元植林では用います。「適材適所」と似た考え方です。

昔からよく言われている樹種と山の環境の関係でいうと、
肥沃で日当たりのよい中腹以下→杉
中腹以上→桧
峰→広葉樹(落ち葉を落として峰より下の土を豊かにするため)や松

というようなことが言われていましたが、最近ではわざわざ峰に広葉樹を植えたりするようなことはなく、自然に生えてきた広葉樹を切らずにとっておく、という状況です。
松については数年前から松くい虫の被害が増えてきたので、坂元植林では植えていません。
「針広混交複層林」「適地適木」という考え方は、平たく言えば、山の環境に合わせて、育てる樹種を選んだり、環境に合わせて施業のペースを変えることなのです。
例えば、日当たりのいい 中腹には杉を 植えますが、日当たりのよい分生育も良いので、こまめに様子を見て、枝打ちを早めに行ってあげるなどの配慮が必要だという事です。

このように「針広混交複層林」「適地適木」を実践するには「森や山と会話する」ということが大切です。

植林・下草刈り・除伐・つる切り・枝打ち・間伐・主伐・択伐・誘導伐

植林

植林の時期は、春と秋に45cm苗(3年生)の苗を1本ずつ手作業で植えます。
苗木は、ある程度密集させると早く・まっすぐ育ちやすいので、四方に1m間隔くらいで植林します。

下草刈り

植林した苗木の成長を助けるため、草刈り機などで苗木の周りの雑草を刈ります。
年1回(場所によっては年2回)、10年程度続けます。
実は、林業においては(地味ですが)かなり重要なお仕事です。なぜかというと、雑草や灌木で成長を妨げられたり、ツルなどで樹の芯が曲がってしまうとまっすぐ育たないからです。

除伐

植林してから10年を超えるころになると、雑木が成長し、植林した木の成長の妨げとなります。その不幼木を取り除く作業を、除伐といいます。

つる切り

クズ(葛)やフジ(藤)のツルが巻きつくと、樹の芯が曲がったり、長く放置すると幹に食い込んでしまいます。そのツルを切って外してあげる作業をつる切りといいます。

枝打ち

枝が重なり合ったままにしておくと、林の中が暗くなり、枝が枯れ、枯れた枝などから害虫が侵入するなどして、病気やトビ傷の原因になってしまいます。それを防ぐために枝を払い、風通しを良くしてあげます。

間伐

植林から20年から30年経つと、林の中が混み合ってくるので、植林した木が成長しにくくなってきます。すると病気になったり、曲がってしまったりしている木を伐採して、林内の環境をよくしてあげます。

主伐

杉の場合、植林から50~60年で柱や板がとれるだけの太さ(20センチ程度)に育ちます。一般的な標準伐期です。

択伐・誘導伐

坂元の森では、大黒柱や梁、桁に使う大径木を育てるために標準伐期50年~60年を越えて育てていく「精鋭木」を選別しています。精鋭木はその名の通り、よく育っている欠点の少ない木で、100年200年と長い時間をかけて保育していきます

様々な木の特性

家づくりには、風合いや肌触り、性質、価格の異なる様々な種類の木が使用されます。もちろん、その木の特性に合わせた適材適所な使い方が必要ですね。ここではいくつかの木の特性を紹介します。

坂元植林木の特性 杉

杉(スギ)

坂元の森で一番スタンダードな木、それは杉です。杉は他の建材には換えられない魅力があり、特に木肌の暖かさ、湿気を吸収して木肌がサラッとしている点があげられます。坂元植林の家土台以外の構造材としてすべて杉を採用、特に梁に杉材を使えることはめずらしいと思います。梁に杉材を利用すると建物が軽量化し、万一の地震の際にも比較的ダメージが少ないと想定できます。傷つきやすい(柔らかい)点が短所としてあげられますが、簡単なメンテナンスである程度回復します。何よりもしなやかで、心地よい肌触りは床材、内装材としておススメなのです。

坂元植林木の特性 桧

桧(ヒノキ)

坂元の森で大切に育まれている桧。「桧のお風呂」に代表されるように、水に強く、自然の抗菌作用に優れた固い建材として知られています。その特性から、水周りや外の腰壁、濡れ縁、また土台としても使用されます。杉に比べるとコストが割高になりますが、使用個所によっては是が非でも使いたい素材ですね。

坂元植林木の特性 欅

欅(ケヤキ)

古くから寺社建築に使用されてきた広葉樹随一と言われる良材。玉杢(たまもく)や泡杢(あわもく)といった、独特の美しい木目模様が現れることもあり、高級建具や家具に使用されることもしばしば。性質的な長所として重硬質、体質・耐久性があげられます。また、狂いなどの変化が収まるのに長期間乾燥時間を要します。