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木を活かすための、材料の準備

こんにちは、木材課の峯岸です。
柴田町船岡上大原に建築するセミ・オーダーの木の家「スリーエスハウス」の構造材の準備に忙しくておりましたので、
今日は「木を活かすための、材料の準備」のお話。

セミ・オーダーなので、材料の準備は比較的容易と思われるかもしれませんが、
どんなことでも楽な仕事などありません。

スリーエスハウスは、木材の70%(!)以上が、現し材(「あらわしざい」見える場所に使われる木材・化粧材)です。
誰もが「これは美しい!」とご納得いただける材料を準備し、
かつ大工さんが迷わず建て方を進められるよう、材料の準備を進めていきます。

まず、「現し材としてふさわしいだろう」という材料を選び出します。
つまり、なるべく節が少なく、色つやのいいもの、変色のないものを選んでいきます。
1棟につき50本以上は選び出します。

KONICA MINOLTA DIGITAL CAMERA

その後、1本1本の材料の美しい面を見極め、
使われる向き、使われる位置を、材料に記載していきます。

KONICA MINOLTA DIGITAL CAMERA

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その後、寸法通りの大きさに整え、プレカット工場へ出荷します。

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通常、壁の中などに隠れ、見えなくなる構造材は、使われる向きを材料に合わせて指示するだけで済みますが、
化粧材(見える場所につかう材料)の場合は、建物が出来上がったとき、
どこの面がどう見えるか?を考えて、材料の準備をする必要があるのです。
見えなくなる構造材と、化粧材(見える場所につかう材料)では
準備にかかる時間が2倍以上になることもあります。

ここまでしてから、プレカット工場へ出荷していきます。
林業を母体にする会社として、
「手塩にかけて育てた材料を、最大限生かして家を建てる。」
ということは、手間暇のかかることなのです。

一般的にプレカット工場では、
1本1本の材料のどこがどう見え、どう使われるか?といったことは十分に検討されず、
1日にどれだけの量の木材を加工できるか?
という「生産性」が重視されます。
短時間でより多くの材料を加工するためには、どんどん材料をプレカットマシーンに送り込む必要があり、
1本1本の材料のどこがどう見え、どう使われるか?といったことは十分に検討している余裕はないのです。

そこで、坂元植林の家では、プレカットマシーンに送り込む前の準備として、
1本1本の材料のどこがどう見え、どう使われるか?を想定して、
「この材料は、この面とこの面がきれいだから、この面がこの場所に見えるように使ってあげよう」
ということを決め、そう使われるように加工の仕方を指示して、プレカット工場に送っています。

この準備があって、大工さんたちもスムーズに建て方を進めていけるし、
材料の美しい面を一番いい使い方で使うことができる、ということです。

あなたの家に使われる材料は、
一本一本吟味して、使い方を検討されて加工された材料と、
生産性を重視して、どんどん機械に送り込まれて加工された材料と、
どっちの材料を使ってほしいですか?