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手刻み:無垢材をアラワシにすることの意味。

槻木駅西のKさまの木の心の「手刻み」の準備が始まりました。

坂元植林の家のモデルハウスは、
柱や梁などの構造材(自社林のスギ)が、壁紙などで覆われていない=「構造材アラワシ」の状態になっています。(程度の差はありますが)

構造材を美しく見せ、
一つ一つの木材をより効果的に、
適材適所に使うには、手刻みが適しています。

①構造材を美しく見せるため
②その素材の良さを生かし切るため
この2つが構造材アラワシ・手刻みのメリットとしてよく説明されますが、

無垢の木をあらわす、「構造材アラワシ」には、実は、こんなメリットもあるのです。

それは、
無垢のスギ(やヒノキ)が

「匂い」「空気」「湿度」の違いを生み出し、
室内空気環境を整えてくれるということです。

坂元植林の家のように、無垢材・自然素材をふんだんに使った木の家に一歩入ると、
何かに気が付くと思います。
それは、「匂い」「空気」「湿度」の違い。

新建材でできた家(一般的な建売住宅や、アパートマンションなど)と比べると、
何か違うな~と感じると思いますが、
その正体の一つが、これら、「匂い」「空気」「湿度」の違いといわれています。

あまり想像がつかない方は、ぜひモデルハウスに遊びに来てみてください。

 

坂元植林の家の場合は、スギ材が多いので、特にスギがもたらす違いについて説明します。

まず「匂い」の違いですが…
スギから出る
「天然セキステルベン類」「セドロール」「サイトカイン活性」が、
頭をすっきりさせる・血圧を下げる・免疫を高める。
といわれています。

図にすると以下のような感じ。

図にもありますが、京都大学の研究で明らかにされており、
まだまだ発見されていない多くの有益物質が存在する可能性があるそうです。

次に「空気」の違い。
これは、スギの空気清浄機能によるもので、
・NO2(二酸化窒素):咳や淡を引き起こす有害物質
・ホルムアルデヒドなど:シックハウス症候群の原因となる有害物質
これらを減少・吸収・分解してくれる機能があります。

これは余談ですが、
人は1日に、なんと14400リットルもの量の空気を吸っているそうです。

体重50kgの人の場合の一日の呼吸量を計算すると、
0.5リットル×28,800回=14,400リットル。

空気の重さを感じることなど、普段はほとんどないですが、
標準状態と呼ばれる0℃・1気圧の状態では空気1リットルの重さは約1.2gなので、
14,400リットル×1.2g=17,280g
=約17kg。

コンビニのおにぎりは100gぐらいなので、172個分!

1日に吸う空気は、
なんと、おにぎり172個分の重さ。

健康に気を使っている皆さんは、日ごろの食事やお水のことは気にしても、
案外、空気のことにそこまで気を使ってはいないのではないでしょうか。

ちょっと調べてみると、こんなグラフがありました。

こちらのウェブサイトから引用

食べ物や飲み物も大事ですが、空気はもっと大事かもしれませんね。

 

さて、話が脱線しかけましたが、

「湿度」の違いの正体は、
スギの調湿効果です。
最適な湿度にコントロールしてくれます。

柱1本で、3~4リットルもの水分を蓄えてくれるそうです。

 

スギと湿度の関係を説明するときに、よく、奈良の正倉院が引き合いに出されます。
歴史の教科書でおなじみ「正倉院」は、
シルクロードなどを通じて外国から伝来したお宝などを、当時の帝が大切にしまっていた、いわば宝物庫です。

この正倉院は実は、ヒノキでできているのですが、
その建物の中、
さらに大事なものをしまう箱=「唐櫃」(からびつ)は、
スギでできているそうです。

下の図のように、ベストな調湿を行ってくれるのは、ヒノキよりもスギのようです。

湿度に関しては、こんな研究結果もあります。

これは、以前地球の会の勉強会で室内環境について教えてくれた、室内気候研究所の石戸谷先生のウェブサイトからの引用です。(http://iwall.jp/column.html

この図のように、人は40~60%の間の湿度を快適に感じ、それより低かったり高かったりすると、ウイルスやカビの発生につながり、健康に対しては悪影響の原因となってしまいます。

・・・
というように、長々とスギがもたらす「匂い」「空気」「湿度」の違いについて説明してきましたが、
詳しく知りたい方は、家づくり勉強会などで詳しく説明しますので、その際に、スタッフに問い合わせてみてください。

ちなみに明日は10時から、りんくう木の心モデルハウスで家づくりの基礎知識編・勉強会を開催します。
予約は不要ですので、気が向いたらぜひお越しください。

 

 

冒頭で紹介した手刻みの準備はこんな感じ。

複雑な納まりを原寸で確認するための作業。

 

 


現場監督と大工さんが入念に打合せ

 

 


土台となるヒノキに墨付け。

 


手板という、墨付けするための設計図のようなもの

 


カーペンターゲージという道具で、中心線をだしつつホゾ穴など削る場所を記すときに使います。
このカーペンターゲージ。
作ってくれるメーカーが生産をやめ、道具屋さんでも在庫切れとなり、危機的な状況なのだそう。
これも、手刻みの仕事が減ってきたことが原因ですね。

この記事では、
手刻みをする意味
①構造材を美しく見せるため
②その素材の良さを生かし切るため
そこから、構造材をあらわすことが、
③「匂い」「空気」「湿度」の違いを生み出し、室内空気環境を整えてくれる。
というように、
3つの意味を説明しました。

この3つの他、もう1つ大事な違い・意味があるのですが、
皆さんは何だと思いますか?

ぜひ、手刻みの現場に遊びに来て、大工さんに直接聞いてみてください。
いつでもお待ちしています。